NBA

 何となく、文章を書いていないと落ち着かないので、不定期にnoteは更新しようと思う。特に誰かに向けてではなく、自分のために書くつもりだ。

 この頃はずっと勉強をしている。一応受験生なので仕方がない。なんだかんだこの数ヶ月がいちばん医学生らしいことをしていると思う。勉強の合間の時間はひたすら好きなテレビ・ラジオ番組を鑑賞しているのだが、ふとしたきっかけでNBAのプレイ集もYouTubeで観るようになった。と言っても、最新のものというよりは、どうしても自分がよくチェックしていた頃のNBAの動画が懐かしくなって観てしまう。私がバスケ部に所属していた中高時代、つまり2010年前後のものである。
 するとかなり鮮明に、リアルタイムで観ていた選手たちのことを思い出す。ノヴィツキーのこのタッパで片足フェイダウェイはチートだよなとか、ダンカンのバンクショットはマジで渋いとか、デュラントはどっからでも得点できるなとか、当時思ってた感情がそのまま蘇る。わりと楽しい。
 そのまま気になって選手のその後を調べてみると、けっこう引退していたり、第一線の選手ではなくなっていたりして、少し悲しくなる。逆に、スパーズの一選手というイメージだったレナードがめちゃくちゃスター選手になってたりもする。あるいはローズをめぐるドラマを知る。そしてそんな中でも全く変わらないゴリゴリマッチョプレイでスター選手であり続けるレブロン・ジェームズの強靭さに驚く。

 私にとってのレブロンといえば、ウェイドとボッシュとともに「ビッグ3」を結成しマイマミ・ヒートで活躍していたイメージが最も強い。そしてその頃のヒートのことを考えると、当時チームに所属していたマリオ・チャルマーズという選手のことも同時に思い出す。私はいつもチャルマーズのプレイをハラハラしながら観ていた。
 というのも、チャルマーズは悪くない選手ではあったが、上述の「ビッグ3」、特にレブロンなどと比較すると見劣りするレベルであったため、あんなチームでプレイするのはさぞかしプレッシャーが大きくて大変だろうと、私は勝手に不憫に思っていたのだ。チャルマーズがターンオーバー(ミスによりボールを失うこと)したり、大事なところで得点を決められなかったりする場面を観るたびに、「彼は今どんな気持ちなんだろう」と表情を注視していた。
 実際、チャルマーズがレブロンから叱責を受ける様子が画面に映ることもあって、そのたびになぜか私は自分のことのように胸がキュッと苦しくなっていた。

 たぶん私は、チャルマーズの姿を、バスケ部のキャプテンのくせにちっとも上手くならない自分と重ね合わせていたのだろう。もちろん次元が違うし、余計なお世話ったらありゃしないのだが。当時のうちの部は弱小も弱小の、さらに私はその部員のなかでも弱いほうの選手だった。それなのになぜキャプテンだったのかというと答えは明瞭で、同じ学年に私と部員があともう一人しかおらず、そいつが実にちゃらんぽらんだったからだ(一応付け加えておくと、彼とは今でも住む場所は違えど仲良しである)。
 最近私はよく考える。NBAの関連動画から飛んで、バスケが上手くなるための方法とか、色んな戦術の解説動画を観ていると、もっと上手くなるためにやりようがあったなと。バスケが大して上手くなくて、公式試合のたびに辛い思いをしていたくせに、私は練習メニューを一切改善しようとしなかったのだ。それは先輩が大した練習をしていなかった(なのに県大会に行くくらい強かった)のが大きな原因なのだが、今から考えると、チームメイト(主に後輩)に申し訳ないことをしていたなと思う。
 当時は人間関係も辛いことが多くて、(楽しいことがないわけではなかったが)体育館に行くのが嫌で嫌でたまらないことも多々あったのに、それでもバスケ部を辞めなかったのは、周りに諦めたと思われるのが悔しかったという、負けず嫌いから来るただその理由のみである。何とも馬鹿馬鹿しいし痛々しい。繰り返しになるが、だったらもっとやりようあったろと思う。

 そんなこんなで、最近はちょっとバスケ熱が復活して、遊び半分でボールを弄るくらいできたらいいなと思っている。しかしバスケットゴールがある公園というのはなかなか存在しない。だからNBAの動画を観て溜飲を下げるしかないのだが、それもあってか、この頃たまに自分が試合に出ている夢を見るようになった。実に単純な脳構造をしていると我ながら思う。
 夢は、公式試合があるときの体育館のざわざわしたあの感じとか、ベンチで顧問のA先生が怒鳴りつけている様子とか、結構リアルだ。私はオフェンスでボールが回ってきてシュートを打つが、ボールは空を切る。あるいはターンオーバーをして、相手チームに速攻を決められる。
 そこでパッと目が覚める。寝ていたときの緊張がまだ残っていて、心臓の鼓動が速くなっているのがわかる。そして思う。別に、夢のなかくらいスター選手になってたって良いのに。結局ターンオーバーばっかりしている。