良い一年でした

 簡単にですが、今年一年の総括を書いておこうと思いました。それはタイトルの一言に尽きます。周知の通り、2020年は新型コロナウイルスの流行により様々な理由でたくさんの人が苦しい思いをし、決して日本全体が明るい一年ではありませんでした。なので、あくまでごくごく狭い範囲の世界で、自分としては結果的に良い一年を過ごしたな、という条件付きの話として聞いてもらえると幸いです。

 これまで私は、明らかに家にいるより外にいる時間のほうが長い生活を送っていました。ですが3月末くらいに一気に真逆の状況になってから、色んなことを自分のペースで物事を進められるようになり、「忙しい」という面でのストレスをあまり感じなくなったように思います。また、(ただでさえ大きいとは言えなかった)コミュニティは縮小の一途をたどり、会おうと思ったごく少数の人としか連絡をとらなくなりましたが、それも自分にとってはかなり快適でした。何だかんだ楽しい思い出もつくれました。

 学生六年間の総括としても、満足のいく一年を過ごすことができました。二年以上時間を費やしてきた医学概論に関する原著論文、加えて学内でずっと活動してきた学生の教育参加に関する実践報告論文を出版することができ、また臨床実習のオート・エスノグラフィー研究の倫理審査を通し、成果のひとつとして(残念ながら抄録を出すのみでしたが)医学教育学会のシンポジウムに参加しました。実はいま(4回生の頃から書いている)孤独死に関する論文を年末に泣きながら校正しているのですが、それを除けば、自分が学生生活で力を取り組んでいたことに区切りをつけることができ、嬉しく思っています。

 今年一年はマッチングや国試勉強*1で忙しいだろうと思い諦めていたのですが、家にいる時間で思いのほか本も読むことができました。別に冊数など何ら本質的な問題ではないのでどうでもいい話ではあるのですが、とはいえ2018年から3年続けて年間100冊の本を読むことができました。ただ、人類学を始めとする人文学の知識の付き具合に頭打ちを感じ始めていて、それはもしかしたら(読みやすい入門書ではなく)もっと古典と言われるような骨太な文献を読む力が足りないせいではないかと睨んでいるところです。まだまだ研究者としてお話にならないレベルなので、精進します。

 もちろん、この状況で、ほんとうならあったはずのものが失われたという感触はあります。部活で過ごすはずだった最後の青春はその筆頭です。あるいは、この一年で本来ならば出会うはずだった人と出会えなかった、ということもあるでしょう。たまに思考が内に向き過ぎて辛い気持ちになり、どうにも制御できない瞬間もありました。ですが一方で、この状況だったからこそできたことのほうが多く、それが私をして「良い一年だった」と言わせています。

 友人たちと抄読会をやってみました。医学生にインタビューする活動も始めました。オンラインでプレゼンする機会もいくつかいただきました。ブログも書きたいと思ってた文章をぜんぶ書くことができました。あとこれは自分的にはとても大事なことなのですが、コロナ禍でオンラインが増えたおかげで、家にいながらしてたくさんお笑いライブを観られた一年でした。かつてないと言っていいほどじっくりとお笑い界の動向を追えました。

 今年あった唯一の悲しいことは、10月末に髪に茶メッシュを入れたのですが、どういうわけかzoomとかだと光の加減で真っ黒に見えてしまうので、実際に会ったごく少数の人にしか気づいてもらえなかったことでしょうか。

 それでは皆さま良いお年をお迎えください。来年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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*1:5回生までの私を見て、心配されてる方もいるかもしれないので最後に付け加えておきますが、一応人並みにおべんきょはしているつもりです、ですが、こればっかりは結果が出ないと何とも言えないので……