2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

<旧版・お笑いと社会> 日常世界における「いじり」と「いじめ」

前回まで、バラエティ番組における「いじり」と「いじめ」の関係について、ごっこ理論をヒントに考えてきました。 satzdachs.hatenablog.com 今回は、日常生活でも頻繁にみられる「いじり」と「いじめ」の関係について考えていきたいと思います。 1. 「いじ…

<お笑いと構造 第9回> 既存のお笑い体系からの脱出方法――シュール、メタ

前回は、<お笑いと構造>応用編の第一回目として、天丼をテーマに論じました。 satzdachs.hatenablog.com そこで最後にとりあげたのが千鳥の「開いてる店は開いてるけど、閉まってる店は閉まってる」漫才であり、これが既存のお笑い体系からの脱出の一つの…

<お笑いと構造 第8回> 天丼はどこまで盛れるか?

前回まで、お笑いの構造分析の三尺度として意外感・納得感・期待感を紹介し、さらにそれを先行文献と比較しつつ検討しました。 satzdachs.hatenablog.com 基礎理論の解説を終え、今回から個別の事例を取り上げて分析する応用編が始まります。その初回のテー…

<お笑いと構造 第7回> 先行文献との比較:森下伸也・桂枝雀・カント

前回まで、「お笑いの構造分析における三尺度」として、意外感・納得感・期待感について解説してきました。どうでもいいですが、少し順番を変えて「な・い・き」という語呂合わせだと覚えやすいです。 satzdachs.hatenablog.com 今回は、三尺度の応用編に入…

中動態とは何か

本稿に書かれてあるのは、基本的に國分功一朗『中動態の世界―意志と責任の考古学』(2017年、医学書院)に全面的に依拠した私的メモであり、特に何ら新しいことが書いているわけではありません。 1. 中動態とは何か 「中動態は能動態と受動態の中間」ではな…

突出して具体的で断片的なディテール――「100日後に死ぬワニ」的なもの

何度か言及してきたように、私はここ一年くらいずっと、医学生としての経験をフィールドノートに書いている。記述を始めるにあたって指導教員に言われたことはほとんどなかったが、「それを読んだ人が、自分の見た光景と同じものを浮かべられるように書く」…